よくあるご質問 酒茶論
上野伸弘のコラム
第四回 天寿酒造(秋田)
思わず遠くへ来たもんだ・・・
東京からのアクセスはあまりよくありません。列車なら秋田新幹線で秋田まで行き、秋田から羽越線で羽後本荘へ、由利高原鉄道で終点矢島まで合計6時間半余りの道のりだ、飛行機を使ったとしても乗り継ぎが悪いと同じ時間かそれ以上かかってしまいます。しかし、それはそれで美味しいお酒を飲むための必要条件と、はやる気持ちを納得させつつ向かわねばなりません。

天寿酒造の位置する秋田県由利郡矢島町は、雄大な鳥海山を望む、とても自然の豊かな土地です。その豊かさはというと、あえて語らずとも前途したアクセスのわるさ事情から、皆さんにも大いに想像できることでしょう。

鳥海山
写真提供: 鳥海山フォトギャラリー

天寿酒造

さて酒造りに大事なものは、沢山あり中でも「米・水・人」は特に重要な役割をはたします。

天寿」を語るにあたってその三つをご紹介いたしましょう。
「米」については全国に先駆けて昭和58年より天寿酒米研究会を設立し、昔から地元にこだわったつくりをしています。現在はアイガモ農法など無農薬米にも積極的に取り組んでいます。余談ですが、年に一回催される蔵開放の際にふるまわれる鴨汁は絶品です。チョットかわいそうな気もしますが、実はお酒との相性は抜群です。
「水」については、水源地である鳥海山はマリモ(鳥海マリモ)が生息するほど、豊かで清らかなお水で有名です。その美味しいお水を「天寿酒造」さんでは鳥海山自然水として販売しています。これも余談になりますが、矢島からほど近く、日本海沿いに象潟という場所があります。この地の岩がきは大変有名で、鳥海山から流れ込む冷たくミネラル豊富な水が育むその味は海のミルクなどという言葉では表せないほどの美味しさです。握りこぶしくらいありそうなその大きな身は、半分に切っても身くずれをおこしません。私はこのかきを肴に「天寿古酒」をやるのがたまらなく好きです。
写真提供: 鳥海山フォトギャラリー
そして、「人」を語る前にお伝えしておきたいことがあります。この矢島町というのは聞くところによると日本一の日本酒消費地だそうです。当然のことながら、この地で生まれ育った蔵人達(大酒呑みのDNA)が醸すお酒にまずいものができるわけがありません。

『地元の方々に支持される酒造りを心がける』、どこの地域でも同じことはいえるのでしょうが、地産地消を心がける蔵のお酒を都会にいると味わいたくなるのは私だけではないはずです。

また、最後に付け加えておきたいことがあります。この地は日本で二番目に星がきれいに見えるという空気の澄んだところで、澄んだ空気が、微生物を操る酒造りで最も重要だということはいうまでもありません。
天寿酒造のプロフィールと取扱商品