よくあるご質問 酒茶論
上野伸弘のコラム
第二回 木戸泉酒造(千葉)
古酒の世界では代表的銘柄「AFS」。さて皆様何とお読みになりますか?千葉県は大原の地で古酒造りに励む木戸泉酒造の代表銘柄で「アフス」と読みます。その云われはと申しますと、このお酒造りに携わった3人の名前の頭文字から来ています。
一人は新潟県三島郡三島町にて酒造りを営む住乃井酒造の安達社長一人は木戸泉酒造の荘司社長、最後の一人はその二人が師事した古川董先生、安達のA古川のF荘司のSで「AFS」と成ります。

木戸泉酒造


木戸泉酒造 4代目蔵元 荘司文雄氏
住乃井酒造の社長と古川先生は同じ大学で醸造を学んだ同級生でその安達氏の発案による酒母造り(木戸泉では酒造り)を木戸泉の蔵で完成させたのが古川先生である。

その内容はというと、本来米の糖化が一番進むとされている55℃という温度帯で仕込みは始まる、次いで約30℃で乳酸菌と酵母の投入を行う、こちらも一番活躍できる温度帯である。従来の酒母造りは生もと系と呼ばれる自然にある数百の乳酸菌の中から必要な乳酸菌を取り入れて乳酸を育てる方法と、最初から乳酸を添加するやり方があり全国のほとんどの蔵が後者のやり方を行っている。
しかし日本酒にかかわる乳酸菌は2種類しか存在しないそうで、これは京都大学の農学部の先生方により発見された物で木戸泉ではその乳酸菌を京都大学より分けてもらい培養しながら使っているそうです。いわゆる必要とされるべき乳酸の元を培養するやり方である。

そこで木戸泉ではこれを「高温山廃モト」と呼んでいる。乳酸菌を育て乳酸にかえるという点では生モトと同じだが、山卸という作業は行わないから、まず山廃モト方式といえるだろう。が、普通の山廃モトの仕込み温度は8℃前後。それを木戸泉では55℃の高温で仕込んでいる。故に「高温山廃モト」である。

古酒の経年変化
さて今述べたことでも他の蔵と違う造りをしていることはお判りいただけたでしょうが、さらにもましてこの蔵は、一段仕込みといって独特の醸造方法を取っている。本来お酒は段仕込みといって その蒸米、麹米、水を3回もしくは4回小分けにして仕込んでゆきます、しかし木戸泉ではその物量を一片に仕込んでしまう。
これによって酒のほとんどが琥珀酸に由来する味わいが多いのに対し木戸泉の酒は乳酸由来の独特のあじわいとなる。それもこれも、これから長き熟成でよりよい変化を求めての術である。

そして「AFS」は長き年月を経、茜色に輝くその時が来るまで静に蔵で眠りにつく。
たぐい稀なる仕込み方法にて醸し出される完成度の高い熟成の古酒を皆様も一度お試しあれ。
商品画像
AFS(アフス)ブレンド
古酒専門店 酒茶論のためのオリジナルブレンド、30年物の古酒をベースに造られているこの古酒のスペックは私共とて知りえぬミステリアスなるニューバージョン、全てにおいてバランスの計られた完成度の高いAFS、但しこのバージョンのお酒もいつまで出せるか御約束できない商品です。もしかすると直ぐにでも終売を迎えるやも知れぬ商品でもあります。木戸泉ファン、AFSファンはこの機会に是非御求めを。
木戸泉酒造のプロフィールと取扱商品