上野伸弘のコラム第九話 世界のアルコール飲料と古酒、熟成酒
ワインの飲み頃は、その年のぶどうのできによって決まるとも言います。ぶどうが良くできた年のワインは濃醇で長期の熟成により、その味を高め飲み頃の寿命も大変長いとされています。
日本酒の場合、その原材料の良し悪しは大事ではありますが、こと熟成に関しては大きく作用しないようであります。また、同じ米の醸造酒である中国の紹興酒はどうでしょうか?比較的その熟成の長さを尊ぶといわれる紹興酒には50年を超えるものも数多く存在します。
その陳年物は、「甕を開封した途端部屋中をその甘い香りで覆いつくす」といっても決して過言ではありません。しかし「味はいかがか」と問われると答えに詰まります。軽やかな口当りとのど越しは滑らか、これぞ水の如しという酒です。
しかし、その香りがもたらすイメージは味への期待を裏切るものでもあります。もちろん大変すばらしい酒であることには間違いは無いのですが、臭覚が示すその酒のイメージと実際の味わいとの違いに、飲みなれない方は戸惑うことであるでしょう。また、日本酒の熟成方法とは異なりますが、参考にしたい世界の酒にシェリー酒があります。テイストが似ていることもあり古酒を表現する時によく引用されています。実際にはシェリーにはビンテージ熟成年数を記したものはありませんが、100年、200年ものという呼び方のシェリー酒を聞くことがあります。 「ソレラシステム」といって沖縄の泡盛が行う『仕次ぎ』と近いが注目すべき独自の熟成方法が行われています。普通のワインは一度樽詰めしたらそのまま熟成させますが、シェリーの場合は新しいシェリーを古いシェリーにブレンドしながら熟成させていきます。シェリー樽は通常3段〜4段に積み上げてあり、その一番下の樽を「ソレラ」と呼び、その他を「クリアデラ」と呼びます。シェリーは出荷の際ソレラから瓶詰めされます。そして、その抜かれた酒は一段上にあるソレラより、若干若い第一クリアデラから捕われる。また、第一クリアデラの補いをそれよりまた若い第2クリアデラから行い第3へと続きます。こうすることで古い酒の風味を受け継ぎながら熟成を重ね、製品の一定化を図っているのです。ちなみに、シェリー酒のラベルにはソレラを開始した年が表示されているので、機会があったら注意して見てほしい。 |







