第十一話 時代に適した酒「古酒」
近年、職や生活のテーマでもあるスローフード、スローライフがささやかれているが、アルコール飲料も従来の工業製品化したものではなく、本来の農業製品に戻りつつある。
酒造会社も量だけを追い求めるのではなく、よいものを上手に適量楽しむことを考え商品化している。
日本酒は級別が廃止され吟醸酒、純米酒、本醸造酒といった特定名称酒という形に変わり多様性に富んできた。いよいよ至酔飲料ではなく、その味わいを楽しむものが多く造られ、趣向性に富み、選択肢もますます拡がってきているわけだ。
その中でも特筆すべき酒が古酒といえる。
その特徴は、グラスに注ぐと見事なまでに琥珀色に輝きを示し、豊かな蜂蜜の甘い香りを持ち、口の中に拡がる深い味わいにシルクやビロードの様な喉越しは、身体を潤うような酔いで包み込むといった贅沢感がある。
良く熟成された酒は身体に負担が少なく、翌日に残りにくいという経験則もあり、
日本アルコール医学界では「アルコールの溶液構造と薬理作用との関係」と題して、未熟成のものと熟成したものとのアルコール飲料の薬理的な差を発表している。
その味わい豊かで身体に優しい熟成酒は、現在、1500〜1600社とも言われている酒造会社数の内の400〜500社が熟成酒を持ち合わせているといわれている。
一般的な清酒と比較して、この酒は大変個性豊かで、一人一人に説明しなければならないものでもある。しかしながら、その特徴を知ることが出来れば、通常日本酒をあまり好まない方たちにも、その趣向に合った古酒があることをお伝えしておこう。